塩湖を渡ってトズールへ
2007.7.27
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5日め。ドゥーズからトズールへの移動に挑戦します。トズールはショット・エル・ジョリドという巨大な塩湖のほぼ対岸に位置しています。ガイドブックには直通のバスがあると書いてありましたが、バス停で聞いてみると「ケビリで乗り換えて」とのこと。
そんなわけで、まずケビリ行きのバスに乗ります。6時50分発車。
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ところがケビリ郊外のバスステーションで降ろされてみると、「今日はトズール行きのバスは出ない。行くならルアージュに乗れ」とのこと。
重い荷物をひきずってルアージュ・ステーションのある市街地のほうへ歩いていると、通りがかった車が停まって事情を聞き、(その車は満員だったの)でタクシーを呼んでくれました。タクシーはすぐにやってきて、ルアージュのたまり場に移動できました。赤いストライプの入ったバンがルアージュです。
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ルアージュは乗り合いタクシーで、同じ方向へ行く客が6〜7人集まらないと発車しません。今日は日曜日なせいか、集まりが悪いです。荷物を車に積んだまま、近くのカフェでごろごろしていました。
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待つこと2時間、10時になってようやく発車しました。
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塩湖を横断する全長96kmの直線道路に入りました。水をたたえるのは冬の一時期だけで、それ以外はモハヴェ砂漠のようなドライレイク、もしくは湿った砂地になります。
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ときどき、塩の結晶を集めた山や土産物屋があります。
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置き捨てられていた古バス。
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11時半、トズール市街に入りました。ここもサハラのほとりにあり、ラクダ・ツアーの開催地でもあります。高級ホテルが立ち並ぶ一角もありますが、私は一泊13Dの安ホテルにチェックイン。
写真は旧市街に隣接したモスクの尖塔(ミナレット)。美しいです。
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朝からろくに食べてなかったので、市場の横の路上レストランでたっぷり食べます。左はサラダ・メシュイーヤ(焼きサラダ)、右はキョフテジかな? 隣の客が食べていたのを指さして「これほしいある」と注文したもので。どちらもスパイシーで美味しかったです。
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旧市街、ウルド・エル・ハデフ地区に入ってみます。
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地区内にある小さな博物館。
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同上。
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同上。一巡したあと観覧料を聞いたら10Dですと。だいぶふっかけてるなと思いましたが、値切らずに払いました。
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異世界な空間ですが、こことて基本的に民家です。袋小路に入っていくと子供が「ここはぼくんちだよ!」(想像)と言って追い返す身振りをしました。
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日干し煉瓦で作った幾何学模様が美しいです。塩湖を渡ったとたん、建築様式が一変しました。新しい建物でもタイルなどを使ってこのような模様を表現しています。
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カフェでミントティーと水煙管をやる私。
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トズール鉄道駅。首都チュニスから始まる鉄道路線の南端にあたります。昼間はドアが閉まっていて、ひと気もありません。時刻表を見ると、早朝と夕方しか列車が止まらないようです。
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警察署。これも美しい建築でしたが――チュニジアでは警察や空港は撮影禁止だというのを忘れていました。そのせいでやっかいなことに。
険悪な顔をした黒人男性が後ろから近づいてきて、「おい、おまえ、待て!」と呼び止めます。後で聞いたところではジェフ・イナラビと名乗りました。こちらにフランス語が通じないとわかると、ぎこちないながら英語を話します。
ジ「お前は何をしたかわかってるのか。あそこは撮影禁止だ」
野「あいやー、そうだったあるか。これは失敗」
ジ「こっちへ来い」
野「あなた、警察官あるか?」
ジ「いいからこっちへ来い」
路地裏に引っ張り込もうとします。行くなら警察署では。
野「話はここで聞くあるよ」
ジェフは私に向き直り、腕をつかみました。
ジ「俺とお前は兄弟だ」
野「へ?」
ジ「(空を指さして) 神のもとに俺たちは兄弟だ。わかるだろう?」
野「ああ、その考え方はわかるある」
ジ「おまえは罪をおかした」
野「それはまあ……」
ジ「おまえは罪をおかしたのだ。だが俺に5D払えば善処しよう、兄弟」
要するに強請りじゃん。いくら富める者が貧しいものに喜捨する戒律があるからといって、強請りが正当化されるわけありません。そのへんをズバリと指摘できたらかっこよかったのですが、そのとき浮かんだのはすでに実績のある言い回しを大声で繰り返すことでした。
野「ファァァイブ ディナール?! そんな大金払えない! 私はとっても貧乏なバックパッカーある! そんな大金払ったら日本に帰れなくなるある!」
ジ「わかったわかった、なら2Dでどうだ」
野「ツー ディナール! それも大金ある! 私はとっても貧乏なバックパッカーある! あなた、日本人みな金持ちと思っているあるか?」
ジ「いや、そんなことは……」
野「ノー! アブソリュートリィ、ノー! 私はとっても貧乏!」
ジェフはひるんだように見えました。私はさらに思いつきを語りました。
かわいいピンクのこどちゃポラを取り出し、カバーを開いてジェフに向けます。
野「それより写真を買ってほしいある。一枚1Dでいいある」
ジ「うわ、やめろ!」
野「私を助けるある。素晴らしいポラロイド写真がオンリー1Dある」
ジ「やめろったら!」
ジェフは大慌てで顔をそむけます。そむけた顔の前にまわりこんでこどちゃポラを構えると、ジェフは両手で顔を覆って逃げまどいます。このときシャッターを押していれば、この奇妙な立ち回りをお目にかけられたのですが。しかし駆け引き上、シャッターを押したらおしまいかもしれなくて。
とにかく、彼は本気でカメラから逃げているのです。どうやら彼の倫理規範においては、何かサービスを受けると必ず対価を払わなければならないらしい。そして力ずくで金品を奪うつもりなら、こんなふるまいに出るはずはありません。私はこの男が好きになり始めていました。
ジ「……カフェに行かんか、兄弟」
野「それはいいアイデアあるね」
ジ「俺がおごってやるから」
野「あなたのサービスは受けないある」
カフェにつくと、彼はカプチーノを一杯注文してこちらに押しつけようとします。押し返すと、彼は一口飲んでから「まあ飲め、兄弟」と言ってグラスをよこします。このへんの機微もよくわからないのですが、一度口をつけたものを分かち合うなら一方的なおごりにならない気がしたので、申し出を受け入れました。
野「お礼に写真を撮ってあげよう。タダあるよ」
ジ「やめろ! カメラはしまえ!」
すっかりなごんで笑顔も出ているのに、デイパックからこどちゃポラを出そうとすると彼は大慌てで言います。もしかすると倫理規範ではなくて、指名手配でもされてるんでしょうか。デジカメのシャッターをこっそり押して撮った写真を、ここに貼っちゃいますけど。
野「ときにユー、仕事は何してるある?」
ジ「仕事? 仕事なんかないさ」
そう言って苦笑します。今さっきしたことが仕事なんでしょう。
野「まだ名前を聞いてなかった。ここに書いてほしいある」
ジ「ジェフ・イナラビだ。アラビア語だとこう綴る」
野「ほー。アラビア文字は美しいあるなー。日本の古い字にもこんなのがあるよ」
そんな会話をしばらくしたのち、彼は席を立ちました。
ジ「しめて1D払え」
野「500ミリーム(0.5D)が妥当ある」
ジ「それでいい」
彼はあっさり承諾して、雑踏の中に消えました。
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別のカフェでチェスを観戦したり。かなり早指しで、ついていくのが大変でした。
「あんたも一局やるか」と誘われましたが遠慮しておきました。
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屋台のサンドイッチを食べたり。メルゲズというスパイシーなソーセージを挟みます。
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トズール2日目はオアシスの中にある動植物園へ行きました。市街地から3kmほどあるので、カレーシュという馬車に乗っていきます。
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動植物園に到着。
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動物園はラクダやイノシシ、ダチョウ、ヘビ、トカゲなど、地元系を揃えたまあ普通の内容でした。これはフェネック。
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園内のユーカリの樹に鳥の巣がいくつもありました。青い紐を使っているのはたまたまでしょうか。
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これも。
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これも。
ゴクラクチョウの一種に、青いものを巣に集める鳥がいますが、単に落ちていた紐が青しかなかったのかもしれません。ここじゃ鳥までチュニジアン・ブルーで飾るのだ、と思いたいのですけど。
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植物園に生えていたぶどう。
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バナナの花と果実。
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したたるような緑が心地よかったです。
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帰りに通ったオアシスの水源らしきもの。澄んだ流れもありましたが、ここはササ濁りです。
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午後はホテルで休憩して、20時30分発のチュニス行き列車に乗りました。
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チュニジアの鉄道はどれもヴィンテージでかっこいいです。
……そういえば駅も撮影禁止だったような。とりあえず、貼っておきますけど。
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