『大人の科学』の真空管ラジオ
2006.4.2


 「学研の付録教材に不可能はない」と信じられていますが、真空管ラジオが出ると聞いたときは耳を疑いました。1セット進呈していただいたので、さっそく組み立てにかかりました。
 梱包は意外にコンパクト。箱の開口部はA5サイズです。



 10000セットのキット製造の鍵になったという真空管です。「北京」の刻印があります。



 全パーツを説明書と照合したところ。欠品なし。それが当たり前と考えがちですが、これだけのパーツを揃えるのは大変です。欠品どころかネジ一個余っただけで問い合わせが来るそうで、キットの製造は苦労が多いです。
 工具を含めて、必要なものはすべて揃っています。ハンダ付けは不要で、基板は部品実装済み。リード線を撚りあわせてワイヤリングするだけです。



 しかしアンテナコイルを巻く作業は結構手応えがありました。テンションを一定に保ちながら巻くのが難しい。でも、少々不揃いでも平気です。
 アンテナに使われている電線はリッツ線というもので、真空管と並ぶ本キットの目玉パーツです。このリッツ線は被覆つきの銅線を束ねて絹糸を巻いたもの。導体の表面積を稼いで高周波の伝導を良くする工夫です。絹の感触とサーモンピンクの光沢がなんともいえない魅力です。


 二時間ほどで完成しました。普通のキットならここで道半ばで、テスターやオシロで回路をチェックし、ブロックごとに通電・調整してから全回路に通電、という段取りで完成させていくのですが、取説にはそのような記述はいっさいありません。電池を入れたらブック型バリコンを閉じてスイッチオン。大丈夫かよと思いながらやってみると、一発動作しました。お見事です、学研教材企画開発室。

 このラジオは再生検波式というもので、増幅した信号の一部を入力側に戻してハウリング(発振)寸前にもっていきます。左手で再生ボリュームノブ、右手でチューニングノブを操作し、必死で調節するのが面白いです。感度は普通のラジオよりやや落ちるくらい。ローカル局全部と韓国局がいくつか聞こえました。
 発振状態にすると、受信周波数の電波が放射されるので、その電波を別のラジオで受ければ周波数をチェックできます。ただしノイズを送信していることになるので、短時間ですませましょう。同調の下限は長波帯の280kHz、上限は1640kHzでした。ロングワイヤ・アンテナをバリコンの白い線につないだら、河和のNDB(無指向性無線標識)325kHzが受信できました。

 イヤホンジャックからアッテネータつきのケーブルでパソコンのサウンド入力端子につないだら録音できました。サンプルはこちらです>MP3ファイル 450KB。受信局は70km離れたJOCK、729kHz。再生とチューニングに奮闘する様子が聞き取れますでしょうか。


 2006年 4月 6日追記。
 スプレッド・バリコンを試してみました。本体のブック型バリコンに小容量のバリコン(三枚羽根の部分)を並列につなぎます。ファインチューニングが楽にできました。


 2006年 4月 8日追記。
 短波ラジオに改造してみました。アンテナコイルをコールド側から4ターンしたところで被覆を剥き、ハンダで補強してタップとします。このタップとバリコンの白いリード線が来ているところを短絡させます。この改造はQRP-NET写真館:真空管ラジオに寄せられたJA3BNTさんの実験結果を参考にしました。
 4ターンだとおよそ4〜6MHzくらいが受信できました。5030kHz、CNR1「中国の声」の録音>MP3ファイル 160KB


 関連リンク:学研の公式サイト、キット開発に携わった内尾悟さんの学研 大人の科学 真空管ラジオキットページ。


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