SONY TFM-2000F
2004. 6. 4



 TFM-2000Fの発売は1969年。いわゆるBCLラジオが出回る以前からあった機種で、報道機関などで使われていたそうです。ラジオ工房サイト内BCLラジオ博物館4に記述があります。
 FM、MW、SW1..4の6バンド。BFOはついていません。背面にはアンテナ、アース端子のほか、クリスタルのソケットがあります。単一乾電池4本を入れると自重は4kg。ACアダプターなど使わず、シリーズ電源を内蔵していて電源コードも本体内に格納します。

 長年あこがれていたラジオですが、ヤフオクで簡単に入手できました。音の良さは評判どおりで、朗々と響きます。チューニング・ノブには重いフライホイールがついていて、この操作感も素晴らしい。こんな存在感、質感を持ったラジオはもう作られないのでしょうか。


●バンド切り替えスイッチの修理



 入手したラジオはバンド切り替えスイッチに接触不良がありました。こうなると基板からスイッチを外して分解掃除するしかありません。面倒な作業ですが、トランジスタ類の劣化と違って、やれば必ず直ります。デジカメで配線を記録しながらこつこつ解体しました。このとき露わになったバーアンテナは全長18cmの立派なもの。(写真上右)
 左はバンド切り替えスイッチの接点部を露出させ、コンパウンドで磨いて汚れを除いたところ。これであと10年は戦えるでしょう。
 このほか、ダイヤル照明用のムギ球が切れていたので、電球色LEDに交換しました。

●バーニア・スケールの装備


 横行のダイヤルは全バンドを俯瞰できる感じがして、私の好みです。指針の移動範囲は12cm。バックラッシュを減らすため、常に一方からテンションをかける仕組みになっていて、なかなか精度はよさそうです。
 実力を試すため、ダイヤルの余白にバーニア・スケールを取りつけてみました。目盛りはCADで作図して普通紙にプリントし、アクリル板に貼り付けたもの。これで指針の位置を0.1mmまで読み取れます。
 結果は見事なもので、バーニア・スケールで位置を合わせると、対応する周波数がぴったり再現しました。待ち受け受信も支障なくできます。


 さらに周波数とスケールの関係をgnuplotでグラフにしてみました。
 受信周波数の測り方ですが、局発洩れを周波数直読の受信機で受けて、そこから455kHz引きます。各バンドで10〜20点ほど測り、スプライン補完します。どのバンドも直線に近いS字カーブになりました。
 グラフが直線的なのは、バリコンが周波数直線型だからでしょうか。しかし完全にまっすぐというわけでもない。このグラフとバーニア・スケールを使った周波数読み取り精度は、19mbでプラマイ10kHzくらいです。

●外付けBFOの装備


 せっかくのオールバンド・ラジオですから、SSB波も聴いてみたくなります。そこで『やさしい電子工作教室』(高田継男・中山昇著、CQ出版)に載っていた外付けBFOを作りました。
 455kHzのセラロックを発振させて搬送波を補ってやるだけの、簡単な装置です。バリコンで発振周波数を1kHzほど可変できます。
 チューニングがシビアで、通信型受信機ほど簡単にはいきませんが、これでアマチュア無線や漁業無線、航空機の洋上管制が聴けるようになりました。

 ……以上、アナログ時代のBCLがやりそうな拡張・環境構築をひととおりやってみた経緯でした。
 お化けが多いのと、分離が甘いので、シビアなDXingには向きません。しかし国際放送を楽しむには充分な性能です。
 なにより、使っていて楽しいラジオです。天気のいい日、これを庭先に出して民族音楽など聴いていると、気分はポルコ・ロッソです。

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