ゴムの特性試験

2003.3.10


 競技用ゴム動力機に取り組んでいる人は、それぞれの方法で動力ゴムの特性を調べています。CFFC(中部フリーフライトクラブ)の西澤実さんに教わった方法で、私もやってみました。ただし、あちこち自己流が混じっています。

 まず、こんな装置を作ります。ゴムで錘を吊して伸びた距離を測るのが目的です。
 調べたいゴムはFAI Model Supplyで扱っているTAN IIやTAN SPORTの1/8インチ幅のもの。これを1.1gぶん切ります。
 ゴムを洗ってタルクを落とし、両端にシリコンオイルを塗って潤滑してから結んで輪にします。この輪を上の装置に取り付け、3kgの分銅を載せて15分間吊します。これをブレークインといいます。荷重でゴムが切れることがあるので、下にクッションなどを置きます。

 分銅は鉛を片手鍋で溶かして、シェラカップに必要量を流し込んで作りました。
 850g、500g×2、250g、200g×8、100gの、合計13個。また、分銅を積む受け皿部分にも板鉛をつけて200gになるように調節してあります。
 ブレークインが終わったら、分銅を100、200、200、200、200、200、200、200、200、250、500、500、850の順に積みます。この状態が4kg。ここから分銅を一個ずつ除いていって、そのつどゴムの伸張距離を記録します。
 測定中は気温を一定に保つことが必要です。私はストーブで室温20度を保ち、近くに扇風機を置いて空気を攪拌しました。扇風機の風の強弱が変わるだけでゴムが数ミリ伸縮します。温度管理については改善が必要と思われます。


 測定が終わったら、ゴムを結び目のところで切って正味の重量を測ります。約1gになるはずです。できるだけ正確に計って、以後の計算処理で1g相当に補正します。
 それにしても、たったこれだけのゴムで4kgもの荷重を吊せるとは驚きです。

 測定結果は以下のようなテキストファイルに記録します。タイトル、データ個数、ゴム重量、そして荷重と距離が15点。
TAN SPORT NOV 2002 (g) 20'C
15
1.04
4.0 1830
3.15 1801
2.65 1778
2.15 1747
1.9 1728
1.7 1709
1.5 1684
1.3 1648
1.1 1584
0.9 1438
0.7 1075
0.5 727
0.3 419
0.2 297
0.0 192
 これをC言語で書いたプログラムに入力して処理します。荷重×伸びた距離を足し合わせて積分すると、蓄積エネルギーが算出できます。
Title : TAN SPORT NOV 2002 (g) 20'C
Rubber weight : 1.04g
Total Energy : 1244.3 kg-mm/g ・ 4081.2 ft-lb/lb
No. load(kg) len-org(mm) length(mm) energy(kg-mm/g)
( 1) 4.000 1830.0 1759.6 99.7
( 2) 3.150 1801.0 1731.7 64.1
( 3) 2.650 1778.0 1709.6 71.5
( 4) 2.150 1747.0 1679.8 37.0
( 5) 1.900 1728.0 1661.5 32.9
( 6) 1.700 1709.0 1643.3 38.5
( 7) 1.500 1684.0 1619.2 48.5
( 8) 1.300 1648.0 1584.6 73.8
( 9) 1.100 1584.0 1523.1 140.4
(10) 0.900 1438.0 1382.7 279.2
(11) 0.700 1075.0 1033.7 200.8
(12) 0.500 727.0 699.0 118.5
(13) 0.300 419.0 402.9 29.3
(14) 0.200 297.0 285.6 10.1
(15) 0.000 192.0 184.6 0.0
 len-orgは実測値、legthは1g当量に補正した値です。
 計算例:データの一個めと二個めの場合、
 (1759.6 - 1731.7) × ((4.000 + 3.15) ÷ 2) = 99.7 となります。
 以下のグラフは縦軸が荷重(kg)、横軸が伸びた距離(mm)です。

 トルクを測ったわけではありませんが、この曲線はトルク・カーブと相似形になると言われています。
 荷重1kgあたりまでは弾性のある領域で、模型飛行機ではクルーズ領域と呼びます。それより上をクライム領域、最後の最も傾斜の急なところをバースト領域と呼び、ゴム動力機の上昇に強く関与する部分です。


 さらにプログラムを拡張して複数サンプルを重ねて表示できるようにしました。
 ゴムにはヒステリシス(履歴特性)があると聞いたので、それを実測してみたのが上のグラフです。
 「go」は荷重を増やしながら測ったもの。「bk」は荷重を減らしながら測ったもの。プロペラを回すときは荷重を減らす向きの特性になります。
 また、同じサンプルでも一回目よりは二回目のほうが伸張量が増えます。これはブレークインが不足しているために、一回目の測定がブレークインを補ったと考えることもできましょう。


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