カピット(1)
カピット(1)
2003.4.23
4月6日から9日朝まで、ラジャン河中流のカピット(Kapit)にいました。ラジャン河はサラワク州で最長の河で、下流からカピットあたりまではイバン族が多く住んでいます。
カピットへのアクセスは事実上、ラジャン河を遡行するエキスプレス・ボート(写真)しかありません。下流の都市、シブから乗ります。
シブからカピットまでは約2時間半。GPSで測ってみると速度は時速55kmくらい。右は途中に寄った集落、ソング(Song)の船着き場。
午後1時頃、カピットに到着しました。河岸は護岸してなくて、赤土がびっしり積もっています。雨季になるとこの赤土部分が隠れるくらいまで水位が上がるそうです。
カピット市街は川沿いに3〜400mしかありません。商店はクチンやシブと同様、中国人の経営するものがほとんど。そのせいか、どの店も活気があるし、何を食べても美味しいです。
暗くなってから、昆虫目当てに歩きました。どの灯火にもヤモリがついています。
そしてライトアップされた椰子の木で発見したコガネムシ。でかい! この採集だけで、もういつ帰国してもいいと思いました。
鮮やかな緑色のセミと、脚の赤いバッタ。ちょっと町中を歩いただけでこれだけ収穫があるのですから、いつか本格的な採集旅行をしてみたいです。
朝、マーケットのあたりから見下ろしたラジャン河。朝霧がたちこめています。
クチンのサラワク河もそうでしたが、ここもずっと濁流のままです。
マーケットに並んだ野菜や果物。その色彩にうっとりしてしまいます。
それから鶏、豚肉やナマズ、中国料理に使う乾物などがありました。果物は1リンギット(約30円)も出せばキロ単位で買えてしまいます。ガイドブックにはイノシシやマメジカの肉も並ぶとありましたが、1999年から野生動物の肉の売買は禁止、という掲示が船着き場にありました。
町外れの風景。樹木に埋もれるようにして民家があります。周囲の草むらで、食用にすると思われる草を摘んでいる人がいました。実をどっさりつけたバナナの木もよく見かけました。
高台には広壮な邸宅もありました。貧富の差はかなりあるようです。
道端の繁みに首をつっこむだけで、いろいろ面白いものが観られます。左は直径40cmくらいある、アリの巣らしきもの。ナイフで削ってみると無数の空洞がありましたが、蜂の巣のように整然としてはいません。右はトケイソウの一種。
空港があるというので、遊覧飛行を頼もうと思って行ってみました。しかしカピットにはバスもタクシーもありません。いろいろ聞いてみると「バンに乗れ」とのこと。マーケットのそばの道路に、バンばかり溜まっている一角がありました。なんの標識もついていません。運転手に交渉して、同じ方角へ行く客がたまったら出発するというアバウトさでした。
そうして到着した空港は、驚いたことに市街から目と鼻の先にありました。写真は管制塔らしきものと、乗ってきたバン。そして滑走路。空港というより場外離着陸場です。週一便、アイランダーが発着するそうな。
カピットは他の多くの街と同様、陸の孤島です。道路は市街から数キロのところで途切れていて、あとはジャングルがあるだけ。
ホテルのそばのカフェ(中華風大衆食堂)で、隣にいた二人の男性に話を聞きました。
昆虫採集にいい場所を尋ねると「どこでもいるよ」という返事。釣りにいい場所はというと、これも「どこでもいいよ」。
二人はイバン族だというので「イバンは勇敢な戦士だね。日本兵をたくさん殺した」と言ってみたら、「にゃははははは」と笑われました。それから「ボルネオの歴史を知っているか?」と訊かれて、
「ええと、白人王のジェイムズ・ブルックとチャールズ・ブルックが統治して……」
「その前は?」
「ブルネイ王国があった。統治はゆるくて、イバンやケニヤ、それから……」
「カヤン、ビダユー、プナン」
さらに先住民族の名前がずらずら出てきましたが、憶えきれませんでした。さらに「連邦マレーシアとサラワク州の関係をどう思う?」などと、難しい話が出てきて焦りました。
博物館に行ってみましたが閉館中でした。向かいに池があって、子供たちが釣りをしていたので自分も竿を出しました。子供たちは竿を使わず、釣り糸をペットボトルに巻き付けて、それをスピニング・リールの要領で振り出してキャストします。
釣道具店は市街に一軒あって、主にルアー釣りのタックルを扱っていました。ミミズ等の生き餌は売っていませんでした。
いっしょに釣りをした中学生。左はケニヤ族、右はイバン族。それまでに撮った写真をデジカメの液晶画面で見せたら、さっき政治談義をした二人の写真を指して「わあ、これ、ぼくらの先生だよ!」と叫びました。小さな街ならではの出来事と言えましょう。
釣りを続けていると子供や中学・高校生がうじゃうじゃ集まってきて大賑わいになりました。「アリガトウ!」「ヒロシマ!」「ナガサキ!」と、知っている日本語を叫ぶ子、一匹釣るたびに「ギブミー!」とねだる子、煙草をねだる子、餌をくすねる子、それからマレー語版ドラエモンの主題歌を歌う子。オリジナルの歌を教えてやりました。
集まってきたのは、ちょっと不良ぽい子が多かったのですが、真顔で「彼らはクレイジーです」とささやく子もいました。小声で「わかってる」と答えたら安心した様子でした。
釣れたのはフナみたいな魚。餌は現地の子にもらったパン種みたいな練り餌がよくマッチしました。自分では釣れませんでしたが、ミミズの餌で30cmくらいのスズキ科の魚を釣った子もいました。
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