ドラゴンマガジン・『小説のモト』

1997.1.30


 ドラゴンマガジン1996年5月号に載ったインタビュー記事です。
 担当は美人で知られる佐藤さんという編集者。収録は95年末、富士見書房の謝恩会で上京したついでに、編集部の一角でおこなわれました。
 いま読むと、佐藤さんが引き出そうとする話をいちいち裏切ってたような気が(^^;。
 それにしても、2時間くらいだべっていたのを、よくここまでまとめたもんだと思います。
 以下はその本文です。カットはYOSHITSUGU AKINO氏。


『小説のモト』 第18回 野尻抱介

 プロフィール――1961年1月生まれ。ホビー・データでネットゲーム『クレギオン』をてがけ、同作品のノベライズで小説家デビューを果たす。天体観測、映画鑑賞、鉱物採集、釣りなど、その趣味は多岐にわたる。

記者 「今月はSF宇宙の冒険者、野尻抱介先生の登場です。まずはデビュー作『クレギオン』シリーズ執筆のいきさつからうかがえますか?」
野尻 「あれは、ホビー・データという会社にいた頃に、ネット・ゲーム『クレギオン』を作ってまして。その後ノベライズの話をいただいて、私が担当することになったんです」
記者 「小説を書くことになった時、どんなことを思いましたか?」
野尻 「正直、ナメてましたね(笑)。ゲームをやっていたときに、何十人という人物の行動を小説風にまとめてましたから。小説だったら自分で好きなようにまとめられるし、人物ももっと絞りこめるだろうって。しかし、やってみたら全然そうじゃなかった(笑)」
記者 「小説のどんなことが大変でした?」
野尻 「ストーリーのアイデアはそう悩まずに出るのですが、人物のドラマを描いて読者が感情移入できるようにもっていくってのが難しかったかな」

記者 「『クレギオン』とそのあとの『ロケットガール』、2作品通して宇宙を舞台に選んだのはどうしてですか?」
野尻 「……未知の世界を描きたかったんですよね。地球やそれに似た世界を舞台にすると、どうしてもファンタジーっぽくなりそうで、それはどうもピンとこなかったんです。で、宇宙を舞台にすれば、現実に近いところで未知の世界を描けるでしょう? 私自身本気で楽しめる世界になるんじゃないかと」
野尻氏担当編集者 「野尻先生のところには反射式の望遠鏡があるんですよ」
記者 「天体観測が趣味?」
野尻 「ええ。一時期離れていた時もありましたけどね」
記者 「それはまたどうして?」
野尻 「子供の頃ってあるじゃないですか。天文に凝ったり、模型に凝ったりする時期って。で、状況が変わってそう遊んでもいられなくなったもんで(笑)」
記者 「望遠鏡で初めて宇宙をのぞいた時の感想は?」
野尻 「あんまり感動しなかった(笑)。レンズの質が良くなかったんで、天文雑誌の写真みたいには見えないんですよ。そこで冷めちゃいましたね(笑)。でも子供の頃の影響って大きいですね。昔かじった趣味に大人になってから、またはまってしまうことって多いんですよ。天体観測もそうだし、鉱物採集もそう。ロイド(『クレギオン』の登場人物)と同じで宝探しがしたいんでしょうね」
担当 「そうすると『クレギオン』で一番自分に近いキャラってロイドですか」
野尻 「そうですね。あーゆー風になりたいと思いますしね。大人の少年ってやつ」

記者 「『クレギオン』といえば、先日最新刊が発売されましたよね」
(野尻注:収録時点では発売されていない、『アフナスの貴石』のことです(^^;)
野尻 「今度はゲストキャラで演劇少女が登場するんです。メイがロミオ、その子がジュリエットで読み合わせをするシーンなんかもあるんです」
記者 「どんなお話か、さしさわりのない程度に教えてください」
担当 「! ゴ○ラ的宣伝手法はどう? “ロイド死す!”とかっての(笑)」
記者 「“ロイド最後の戦い”とか?」
野尻 「そうそう。そういう話。なんと、ロイドが会社たたんで失踪しちゃうんです。ロイドって人はほっとくとどこで問題起こすかわからない性格なので、当然騒動が巻き起こる。とばっちりをくったマージとメイは――。と、この先は読んでみてのお楽しみってことで」
記者 「マージや森田ゆかり(『ロケットガール』の女子高生宇宙飛行士)みたいに、ご自身も宇宙船を操縦したいと思うことなんてありますか?」
野尻 「そりゃ思いますけど。でも操縦なら飛行機のほうがいいな。宇宙船の面白いところは、やっぱ未知の世界へ行けるってことですから。人類の叡知をつぎ込んで、人類がいけなかったところへ行くのがいいんですよ。お祭り的な乗り物ですね」
記者 「では最後にファンの人たちにメッセージを」
野尻 「ミリガン運送の大ピンチ! あっと驚く新展開(笑)。どーぞ、ご期待ください!!」


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